みなさんは、年齢とともに臓器が老化することはご存じでしょうか。腟においてもそれは例外ではありません。主な現象は腟粘膜の厚みが減少することに伴って、腟が萎縮することによるもの。一般的には、40代後半から女性ホルモンが減少していく傾向にあります。同時に、更年期障害によるホットフラッシュや目眩（めまい）などが起こりやすくなったと感じる頃には、腟の老化が始まっていることが多いと言われています。

年齢による腟の変化は、女性が更年期を迎えた時期ぐらいからはじまることが多いです。
それは女性ホルモンであるエストロゲンが減少することによって起こります。 エストロゲンが減少することによって、腟の内部が乾燥して硬くなります。硬くなると、腟壁の弾力が弱まり、腟粘膜の厚みが減少します。また、エストロゲンが減少すると、常在菌の活動が弱まるので、腟の自浄作用が低下していくことも。
こういった変化から、閉経女性の2人に1人に見られる腟萎縮へとつながる１つの要因ともなります。
問題はこれらの症状を放っておくこと。次は、腟周りのケアについてお話します。

これまでで、年齢による腟の変化や原因について詳しく解説しました。 さまざまな要因が絡み合って起こりますが、日々のケアをすることで改善される場合もあります。

・骨盤底筋トレーニングを行う
骨盤底筋の筋力低下は、腟が固くなり、萎縮の原因に繋がることも多いです。 無理のない範囲で定期的に骨盤底筋トレーニングを行うことは、尿漏れの改善、性交痛の改善、便秘の解消などの効果が期待されます。まずは１日5分程度の簡単なトレーニングから初めてみることをおすすめします。

・VIOゾーンの脱毛をする
VIO脱毛は若い方がすることと思われている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし近年では「介護脱毛」といって、将来自分が介護される立場になったことを想定し、50代以降でVIO脱毛をされる方も少しずつ増えてきました。
VIOゾーンに毛が生えているとムレやすくなるため、かゆくなったりニオイがきつくなったりします。腟まわりの清潔感を保つことは、常在菌のバランスを整えて腟の乾燥や老化を防ぐことにつながります。そして、いざ自分が介護してもらう側になった際に、する側される側どちらも排泄介助がスムーズになるのです。日本でこの数十年で脇の毛の処理が当たり前になったように、アンダーヘアの処理が当たり前になる日も遠くないことでしょう。

・腟まわりの洗浄と保湿を行う
腟まわりの洗浄は、通常のボディーソープでは洗浄力が強すぎるので、デリケートゾーン用のソープを使用しましょう。 保湿の際も、通常の保湿剤は避けてデリケートゾーン用のものを使用することをおすすめします。 腟は女性にとって大切な子宮に繋がる部分なので、マイルドな使用感の保湿剤を使用するようにしましょう。

上でご紹介したケアを行っても、あまり症状が改善されない場合もあります。 ケアの効果は個人差があるので、症状が改善されなかったからといって落ち込む必要はありません。 ですが、ゆらぎやすい更年期世代には、信頼できるかかりつけの婦人科で診てもらうことをおすすめします。

ここまで、年齢の変化を感じ始めた女性の腟の変化によるアラート、その要因を列挙し、日々のケア方法について詳しく解説しました。まだ日本では腟まわりに関する話はオープンに話すことが難しく、知識が少ない方も多くいらっしゃると思います。 そのような女性に向けて、いつまでも心身ともに健康であるための情報が載った本をご紹介します。

・枯れないからだ　著者：森田敦子
価格：¥1,320(税込)

閉経・更年期・セックスレス・介護問題……
すべての問題は「女性のからだ」を正しく知ることで解決されていく。
腟まわりのケア、していますか？

50代前後で女性は誰しもが更年期を迎え、心身ともに大きな変化が起こります。 更年期を迎えれば、今まで以上に体や心のケアが必要になります。「枯れないからだ」では、正しいデリケートゾーンのケア方法や更年期症状の緩和法、骨盤底筋の鍛え方など、今回ご紹介した内容以外にも詳しく解説されています。これからも心身ともに元気で美しい女性であり続けるためには、自分のからだについて正しく理解することが重要です。

今回は、更年期世代に起こりやすい腟周りの症状とその要因を列挙し、日々のケア方法について詳しく解説しました。腟の老化について理解し、正しいケア方法を実践することで潤った良い腟の状態を維持しやすくなります。ぜひ日常的なケアをはじめてみてはいかがでしょうか。